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不動産の企画、賃貸の空室対策、得する家の購入方法、設計やリフォームの方法論などについてまとめています

  • 日射量について

    住まいを計画するにあたり、太陽の光は大切です。
    太陽の光は日射量(kw/㎡)という単位で測定します。
    また、日射量には直接日射量と散乱日射量があります。
    直接日射量は文字通り、太陽からの直接の光です。
    散乱日射量は反射してきた日射量になります。
    直射日射量と散乱日射量の和が全天日射量になります。
     
    終日日射量は1日で受ける日射量になります。
    季節により、屋根、北側の壁、東の壁、西の壁、南の壁は、終日日射量がことなります。
     
    夏一番多いのは、屋根になります。次に東西の壁、次に南面の壁、最後が北面の壁になります。
     
    冬は、南側の壁、水平面の壁、東西の壁、北側の壁になります。
     
    夏一番日射量が多いのは、屋根とイメージしやすいと思います。南側の壁より東西の方が多いのも何となくイメージできます。

    上は終日日射量のグラフになります
    水平面は、常に東西面よりも日射量が多いのがわかります。
     
    日射量から、窓の大きさを考えると、南側に大きな窓をつけると、夏は暑くなく、冬は暖かいとなります。
     
    南側に大きな窓をつけると夏は暑いから嫌だというお客様がいますが、データーのうえでは、夏は、東、西の窓より、南の窓の方が、暑くない(日射量は少ない)です。
     
     

  • 窓ガラスの種類

    最近では、窓にも種類が増えてきました。
    今回は、窓に使われているガラスについて
     
    一般的なガラスは、①フロートガラスと呼びます。普通ガラス、透明ガラスと呼ばれています。
     

    網入りガラス

    次にガラスの中に網の入ったガラスを②網入りガラスと呼びます。火災の時にガラスが割れ飛ぶのを防ぎます。防火地域などで使われています。
    網入りがラスは、中に鉄網がはいっているので錆びたりして、ひび割れを起こします。また、鉄とガラスの膨張率が違うので夏場など、鉄やガラスが膨張すると割れます。(熱割れ)
    (鉄筋コンクリート:鉄とコンクリートは膨張率がほぼ同じです。)
     
    ガラスが熱で割れるのは、熱をうけるとガラスの表と裏の膨張率が違うので、割れてしまいます。ガラスの膨張率を低くしたものを③耐熱ガラスと呼びます
     

    強化ガラス

    ガラスを割れにくくしたのが、④強化ガラスになります。ガラスを圧縮してつくります。強化ガラスが割れるときは、粒上になってわれます。また、強化ガラスは現場では、絶対切断することが出来ないため、作成するときの寸法は重要です。
     

    耐火ガラス

    耐熱ガラスと強化ガラスの性能を持ったのが⑤耐火ガラスになります。美容院などでみかけるガラスです。防火地域でも網がはいっていないガラスになります。
     

    合わせガラス

    防犯の面で活躍するのが、⑥合わせガラスになります。合わせガラスは、ガラスとガラスの間に中間膜をはさみ接着したガラスになります。中に特殊フィルムをはさむことにより、ガラスを割りにくくしています。また、防音効果もあります。
     

    ペアガラス

    ⑦ペアガラスはガラスとガラスの間に空気層(6mm程度)を設けたガラスになります。断熱効果があります。防音効果は、合わせガラスの方があります。
    合わせガラスとは違います。ペアガラスはイメージとしては2枚のガラスになります。
     

    low-eガラス

    ⑧low-eガラスは遮熱、断熱効果のあるガラスです。ペアガラスに似ています。ガラスとガラスの中間層に金属low-eを貼ることにより、断熱、遮熱効果を高めます。low-eが室内側の時には断熱、外側の時は遮熱効果があります。
     
     

  • 建築面積について

    面積には、床面積以外に、建築面積があります。床面積は建物の部屋面積、廊下、トイレ、収納、階段などすべての面積部分を指します。
    床面積の合計を延べ床面積といいます。
     
    建築面積は建物のたっている、1階部分の面積を指します。具体的にいうと、建物を上空からみえる部分の面積になります。
     
    建築面積には特例があります。
    庇部分の面積はひさしの先から1m後退した部分から計測する。
    開放廊下も、バルコニー、屋外階段も同等となっています。(柱の間隔が2m未満の時は1m後退はできない)
     
    下記の図は参考です
    建築面積、上空からの投影  
     
    斜線の部分が建築面積になります

  • 床面積について

    不動産、建築には、建物の面積がつきものですが、面積にも色々な種類があります。
    今回は、建築基準法の床面積について。
     
    建築基準法の床面積
    建築基準法では、床面積は、建物各階などの壁、窓、シャッターなどの中心線で囲まれた水平投影面積による、とされています。(登記簿に記載されている面積は壁内となっています)
    ただし、床面積から除ける部分もあります。
    出窓、ピロティ、バルコニー、ポーチなどです。
    条件としては、屋内的要素を含まい、開放されている、出窓については大きくないこと(寸法は決まっています)
     
     
     

  • 住まいの窓と採光について

    採光

    家を建てるときに、部屋に窓をつけます。
    部屋の窓について建築基準法で定めらています。
    暗いところに住んでいると、健康を害するからです。
    窓の機能には、採光、換気があります。
    今回は、採光について。
    居室には一定の採光が必要です。

    有効な採光面積

    住まいの場合は、床面積の1/7以上、有効な採光面積を設けないといけない。
    例えば、床面積が10㎡の場合、10㎡✕1/7=1.4㎡・・・有効な採光面積です。
    (小学校、中学校など学校の場合は1/5で、厳しくなります。)
     

    採光補正係数

    有効な採光面積=開口部の大きさ✕採光の補正係数になります。
    ①採光補正係数は、用途地域こどによって異なります。
    住居系地域 D/H ✕6-1.4
    工業系地域 D/H✕8-1
    商業系地域 D/H✕10-1

     
     
     
    ②そして、窓の高さの位置(屋根から窓の中心線)と窓(屋根先)から隣地までの距離で決まります。
     
     
     
     
     
    ③例えば、距離Dが1m、高さ Hが6m、工業系地域の場合
    1/6✕8-1=0.333
    0.333が採光補正係数になります
    開口部が1.6m✕1mの大きさの場合、1.6㎡
     
    1.6㎡✕0.333=0.532㎡
     
    例えば、床面積が10㎡の場合、必要な採光面積は10㎡✕1/7=1.4㎡ だから
    1.4㎡>0.532㎡で窓が足らず、もっと窓をつくる必要があります。
     
    以上のように居室にするには、窓などの開口部が必要になるよう定められています。
     
     
     
     

  • マンション(集合住宅)の議決権

    区分所有者と規約

    マンションで物事をきめるのは、マンションの所有者です。
    建物、敷地、所属施設の管理や使用などは、規約で定めることができます。
    規約に定めのない場合は、区分所有者は、区分所有者の専有部分の床面積の割合で議決権を持ちます。
     

    マンションの決議

    マンションの決議は、所有者の人数と持っている床面積で決まります
     
    下記は、決議の割合をのせてあります。

    • 集会の決議は、区分所有者及び議決権の過半数
    • 建物の復旧は、区分所有者及び議決権の3/4以上
    • 建て替えは、区分所有者及び議決権の4/5以上
    • 規約の設定、変更、廃止は区分所有者及び議決権の3/4以上

     
    例えば、床面積を9割持っている人がいても区分所有者が過半数いなければ、集会の決議は決まらないのです。
     
    逆にマンションの区分所有者の9割が賛成しても、床面積持分が過半数いかなければ、集会の決議が決まりません。
    上記の例は極端ですが、区分所有者の5割が賛成、議決権過半数いかない場合はありえます。
    マンションの決議は人数と面積で構成されているといってよいのでしょう。

  • 不動産の心理的瑕疵について

    不動産の売買では、瑕疵については告知しなければいけない。見ていてもわからなかった瑕疵は、かくれた瑕疵になります。物理的な瑕疵については、分かりやすいが、心理的な瑕疵については分かりにくい。
     
    一番わかりにくいのは、自殺の瑕疵になります。
    自殺は瑕疵なのか瑕疵ではないのか?
    隣の部屋が自殺は瑕疵なのか?
    隣の隣の自殺は瑕疵なのか、瑕疵ではないのか?
    10年前の自殺は瑕疵なのか、瑕疵ではないのか?
    100年前の自殺はかしなのか、瑕疵ではないのか?
     
    これらの結論はでていません。
    自殺したことを知っている場合、買主に対して告知することがのぞましいと思われます。
     

  • 消費者契約法

    消費者契約法

    不動産の契約で突如として問題となったのが、消費者契約法という法律です。
    消費者と事業者では消費者を守りましょうという法律です。
     
    ※消費者契約法の事業者には個人の大家さんも含まれるので注意が必要。
     
    具体的には、契約書に記載されていても、消費者に不利な条文は無効となるのです。
     
    何が問題だったかというと、例えば、更新料とかです。
    契約書では○○年ごとの更新の際には更新料がかかると記載してあっても、更新料は無効ではないかと裁判で争ったことがあります。
     
    結論から言えば、1~2ヶ月程度の更新料は有効という最高裁の判例がでて、更新料問題はおさまりました。
    最高裁で判断されたのが、平成23年7月15日になります。
     
    不動産は長期の契約(賃貸契約で2年以上、借地権契約では20年以上)ですが、法律の改正などは短期(数年)間で行われます。
     
    また、今後はグローバル化(アメリカ形式?)になると思います。
     
    これからの不動産は、法律の改正などに、注意が必要です。
     

    最高裁判所の更新料の判例

    下記は最高裁裁判所の更新料の判例を転載したものです。
     
    [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81506]

    1 消費者契約法10条と憲法29条1項
    2 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項の消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性
    裁判要旨
     1 消費者契約法10条は,憲法29条1項に違反しない。
    2 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。

    最高裁判例全文

    主 文
    1 原判決中,被上告人Xの定額補修分担金の返還請求
    に関する部分を除く部分を破棄し,同部分に係る第
    1審判決を取り消す。
    2 前項の部分に関する被上告人Xの請求を棄却する。
    3 上告人のその余の上告を却下する。
    4 被上告人らは,上告人に対し,連帯して,7万60
    00円及びこれに対する平成19年9月19日から
    支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    5 訴訟の総費用のうち,上告人と被上告人Xとの間に
    生じたものは,これを4分し,その1を上告人の,
    その余を同被上告人の負担とし,上告人と被上告人
    Zとの間に生じたものは同被上告人の負担とする。
    理 由
    第1 上告代理人田中伸,同伊藤知之,同和田敦史の上告理由について
    1 上告理由のうち消費者契約法10条が憲法29条1項に違反する旨をいう部
    分について
    消費者契約法10条が憲法29条1項に違反するものでないことは,最高裁平成
    12年(オ)第1965号,同年(受)第1703号同14年2月13日大法廷判
    決・民集56巻2号331頁の趣旨に徴して明らかである(最高裁平成17年
    (オ)第886号同18年11月27日第二小法廷判決・裁判集民事222号27
    5頁参照)。論旨は採用することができない。
    – 2 –
    2 その余の上告理由について
    その余の上告理由は,理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認又は単
    なる法令違反を主張するものであって,民訴法312条1項及び2項に規定する事
    由のいずれにも該当しない。
    3 なお,上告人は,被上告人Xの定額補修分担金の返還請求に関する部分につ
    いては,上告理由を記載した書面を提出しない。
    第2 上告代理人田中伸,同伊藤知之,同和田敦史の上告受理申立て理由につい

    1 本件本訴は,居住用建物を上告人から賃借した被上告人Xが,更新料の支払
    を約する条項(以下,単に「更新料条項」という。)は消費者契約法10条又は借
    地借家法30条により,定額補修分担金に関する特約は消費者契約法10条により
    いずれも無効であると主張して,上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき支払
    済みの更新料22万8000円及び定額補修分担金12万円の返還を求める事案で
    ある。
    上告人は,被上告人Xに対し,未払更新料7万6000円の支払を求める反訴を
    提起するとともに,連帯保証人である被上告人Zに対し,上記未払更新料につき保
    証債務の履行を求める訴えを提起し,この訴えは,上記の本訴及び反訴と併合審理
    された。
    2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
    (1) 被上告人Xは,平成15年4月1日,上告人との間で,京都市内の共同住
    宅の一室(以下「本件建物
    – 3 –
    を12万円とする賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,平成
    15年4月1日,本件建物の引渡しを受けた。
    また,被上告人Zは,平成15年4月1日,上告人との間で,本件賃貸借契約に
    係る被上告人Xの債務を連帯保証する旨の契約を締結した。
    本件賃貸借契約及び上記の保証契約は,いずれも消費者契約法10条にいう「消
    費者契約」に当たる。
    (2) 本件賃貸借契約に係る契約書(以下「本件契約書」という。)には,被上
    告人Xは,契約締結時に,上告人に対し,本件建物退去後の原状回復費用の一部と
    して12万円の定額補修分担金を支払う旨の条項があり,また,本件賃貸借契約の
    更新につき,① 被上告人Xは,期間満了の60日前までに申し出ることにより,
    本件賃貸借契約の更新をすることができる,② 被上告人Xは,本件賃貸借契約を
    更新するときは,これが法定更新であるか,合意更新であるかにかかわりなく,1
    年経過するごとに,上告人に対し,更新料として賃料の2か月分を支払わなければ
    ならない,③ 上告人は,被上告人Xの入居期間にかかわりなく,更新料の返還,
    精算等には応じない旨の条項がある(以下,この更新料の支払を約する条項を「本
    件条項」という。)。
    (3) 被上告人Xは,上告人との間で,平成16年から平成18年までの毎年2
    月ころ,3回にわたり本件賃貸借契約をそれぞれ1年間更新する旨の合意をし,そ
    の都度,上告人に対し,更新料として7万6000円を支払った。
    (4) 被上告人Xが,平成18年に更新された本件賃貸借契約の期間満了後であ
    る平成19年4月1日以降も本件建物の使用を継続したことから,本件賃貸借契約
    は,同日更に更新されたものとみなされた。その際,被上告人Xは,上告人に対
    – 4 –
    し,更新料7万6000円の支払をしていない。
    3 原審は,上記事実関係の下で,本件条項及び定額補修分担金に関する特約は
    消費者契約法10条により無効であるとして,被上告人Xの請求を認容すべきもの
    とし,上告人の請求をいずれも棄却すべきものとした。
    4 しかしながら,本件条項を消費者契約法10条により無効とした原審の上記
    判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
    (1) 更新料は,期間が満了し,賃貸借契約を更新する際に,賃借人と賃貸人と
    の間で授受される金員である。これがいかなる性質を有するかは,賃貸借契約成立
    前後の当事者双方の事情,更新料条項が成立するに至った経緯その他諸般の事情を
    総合考量し,具体的事実関係に即して判断されるべきであるが(最高裁昭和58年
    (オ)第1289号同59年4月20日第二小法廷判決・民集38巻6号610頁
    参照),更新料は,賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であ
    り,その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからす
    ると,更新料は,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対
    価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。
    (2) そこで,更新料条項が,消費者契約法10条により無効とされるか否かに
    ついて検討する。
    ア 消費者契約法10条は,消費者契約の条項を無効とする要件として,当該条
    項が,民法等の法律の公の秩序に関しない規定,すなわち任意規定の適用による場
    合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重するものであることを
    定めるところ,ここにいう任意規定には,明文の規定のみならず,一般的な法理等
    も含まれると解するのが相当である。そして,賃貸借契約は,賃貸人が物件を賃借
    – 5 –
    人に使用させることを約し,賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約すること
    によって効力を生ずる(民法601条)のであるから,更新料条項は,一般的には
    賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味にお
    いて,任意規定の適用による場合に比し,消費者である賃借人の義務を加重するも
    のに当たるというべきである。
    イ また,消費者契約法10条は,消費者契約の条項を無効とする要件として,
    当該条項が,民法1条2項に規定する基本原則,すなわち信義則に反して消費者の
    利益を一方的に害するものであることをも定めるところ,当該条項が信義則に反し
    て消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的
    (同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費
    者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を
    総合考量して判断されるべきである。
    更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借
    契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,前記(1)
    に説示したとおりであり,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどという
    ことはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対
    し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判
    上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当
    然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからする
    と,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人と
    の間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人と
    の間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ない
    – 6 –
    ほどの格差が存するとみることもできない。
    そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新
    料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特
    段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基
    本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが
    相当である。
    (3) これを本件についてみると,前記認定事実によれば,本件条項は本件契約
    書に一義的かつ明確に記載されているところ,その内容は,更新料の額を賃料の2
    か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって,上記
    特段の事情が存するとはいえず,これを消費者契約法10条により無効とすること
    はできない。また,これまで説示したところによれば,本件条項を,借地借家法3
    0条にいう同法第3章第1節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものとい
    うこともできない。
    5 以上によれば,原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな違法が
    あり,論旨はこの趣旨をいうものとして理由がある。なお,上告人は,被上告人X
    の定額補修分担金の返還請求に関する部分についても,上告受理の申立てをした
    が,その理由を記載した書面を提出しない。
    第3 結論
    以上説示したところによれば,原判決中,被上告人Xの定額補修分担金の返還請
    求に関する部分を除く部分は破棄を免れない。そして,前記認定事実及び前記第2
    の4に説示したところによれば,更新料の返還を求める被上告人Xの請求は理由が
    ないから,これを棄却すべきであり,また,未払更新料7万6000円及びこれに
    – 7 –
    対する催告後である平成19年9月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割
    合による遅延損害金の支払を求める上告人の請求には理由があるから,これを認容
    すべきである。なお,被上告人Xの定額補修分担金の返還請求に関する部分につい
    ての上告は却下することとする。
    よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
    (裁判長裁判官 古田佑紀 裁判官 竹内行夫 裁判官 須藤正彦 裁判官
    千葉勝美)
     

  • 私道トラブル 42条1項5号 道路について

    私道トラブル 42条1項5号 道路について

    私道のトラブルについて

    私道のトラブルについて最高裁の判例を紹介します。
    私道、位置指定道路(42条1項5号道路になります。)の最高裁の判例になります。
    位置指定道路とは、よく建売でみかける道路です。
     
    道路の通行を土地所有者が邪魔、妨害することを禁止しますという判例です。
    今、国土交通省、法務省などで私道に関する法整備がすすめられています。
     
    道路として使用しているのに一部の人が妨害する。
     
    防災の点からも急いで解決する必要があると思います。
     
     
     

    最高裁判例

    次のサイトより下記を転載いたしました
    http://www.courts.go.jp/
    最高裁平成9年12月18日
    建築基準法四二条一項五号の規定による位置の指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。
     
     
    主    文
    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人らの負担とする。
    理    由
    上告人らの上告理由について
    一 建築基準法四二条一項五号の規定による位置の指定(以下「道路位置指定」
    という。)を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不
    可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又
    は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通
    行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有
    者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権
    利)を有するものというべきである。
    けだし、道路位置指定を受け現実に開設されている道路を公衆が通行することが
    できるのは、本来は道路位置指定に伴う反射的利益にすぎず、その通行が妨害され
    た者であっても道路敷地所有者に対する妨害排除等の請求権を有しないのが原則で
    あるが、生活の本拠と外部との交通は人間の基本的生活利益に属するものであって、
    これが阻害された場合の不利益には甚だしいものがあるから、外部との交通につい
    ての代替手段を欠くなどの理由により日常生活上不可欠なものとなった通行に関す
    る利益は私法上も保護に値するというべきであり、他方、道路位置指定に伴い建築
    基準法上の建築制限などの規制を受けるに至った道路敷地所有者は、少なくとも道
    路の通行について日常生活上不可欠の利益を有する者がいる場合においては、右の
    通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、右の者の通行を
    禁止ないし制限することについて保護に値する正当な利益を有するとはいえず、私
    法上の通行受忍義務を負うこととなってもやむを得ないものと考えられるからであ
    – 1 –
    る。
    二 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。
    1 原判決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)は、昭和三三
    年ころ本件土地周辺が大規模な分譲住宅団地として開発された際、各分譲地に至る
    通路として開設された幅員四メートルの道路であり、昭和三三年一月一三日、川崎
    市長から道路位置指定を受けた。
    2 本件土地は、右の道路位置指定以後三〇年以上にわたり、被上告人らを含む
    近隣住民等の徒歩及び自動車による通行の用に供されている。
    3 被上告人らは、肩書の住所に居住し、自動車を利用する者である。被上告人
    らがその居住地から自動車で公道に出るには、公道に通じる他の道路が階段状であ
    って自動車による通行ができないため、本件土地を道路として利用することが不可
    欠である。
    4 上告人らは、昭和六一年一二月九日、贈与により本件土地の所有権(持分各
    二分の一)を取得した。
    5(一) 上告人らは、平成三年九月ころ、被上告人らを含む本件土地近辺の住民
    に対し、同年一二月末日までに上告人らと本件土地の通行に関する契約を締結しな
    い車両等の本件土地の通行を禁止するという趣旨のビラをまいた。
    (二) 上告人らは、右(一)と前後して、専ら被上告人らの自動車通行をやめさせ
    る意図の下に、本件土地に簡易ゲート等を設置した。その結果、被上告人らは、自
    動車で本件土地を通行するたびに、いったん下車して右簡易ゲートを取り除かなけ
    ればならなくなり、通行を妨害されている。
    (三) 上告人らは、平成四年二月八日、被上告人らの所属する自治会に対し、同
    年一二月末日をもって本件土地の通行を不可能にする工事を施工することがある旨
    を通知した。
    – 2 –
    三 右事実関係に基づいて検討する。
    被上告人らは、道路位置指定を受けて現実に道路として開設されている本件土地
    を長年にわたり自動車で通行してきたもので、自動車の通行が可能な公道に通じる
    道路は外に存在しないというのであるから、本件土地を自動車で通行することにつ
    いて日常生活上不可欠の利益を有しているものということができる。また、本件土
    地の所有者である上告人らは、被上告人らが本件土地を通行することを妨害し、か
    つ、将来もこれを妨害するおそれがあるものと解される。他方、右事実関係によっ
    ても、上告人らが被上告人らの右通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の
    事情があるということはできず、他に右特段の事情に係る主張立証はない。
    したがって、被上告人らは、上告人らに対して、本件土地についての通行妨害行
    為の排除及び将来の通行妨害行為の禁止を求めることができるものというべきであ
    る。
    四 以上と同旨に帰する原審の判断は、正当として是認することができる。原判
    決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
    よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
    最高裁判所第一小法廷
    裁判長裁判官    藤   井   正   雄
    裁判官    小   野   幹   雄
    裁判官    遠   藤   光   男
    裁判官    井   嶋   一   友
    裁判官    大   出   峻   郎